私たちは、選ばされている!?
今日のコラム♪
『私たちは、選ばされている!?』
今日は、
私たちがモノを買うときに、
「どういう基準で選んでいるのか」
というお話です。
これから話す内容は、
マーケティング業界の方にとっては
当たり前の話かと思いますが、
一般的には知らない方も結構多いのでは、
ないでしょうか。
実は、
私も最近まで知らなかったことも
ありました。^^;
そこで、今日は、
誰にでもわかりやすように
『2つのポイント』に絞って、
例を挙げながら
ご紹介してみようと思います。
私たちは、
何かを選択するときに
以下のような傾向があるようです。
『選択肢が多すぎると選べない。』
逆に…
『比較するものがないと選べない。』
どうですか?
あなたも思い当たるところが
あるのではないでしょうか。
まず、1つめの
『選択肢が多すぎると選べない。』
ですが、
種類展開が多数ありすぎた場合、
選ぶのに疲れてしまう場合があります。
たとえば、
レストランに行って、
『カレーフェア』をやっていたとしましょう。
あなたは、メニューを見ています。
「黒カレー」か「インドカレー」の
2択だった場合であれば、
よほど優柔不断でない限り^^;
すぐに決められますよね。(^_-)
でも、
カレーパスタ、カレーpizzaなど
様々なアレンジメニューが
他にも10品ほどあったらどうでしょうか?
迷いませんか?
結局、「本日のランチ」のように
手軽なものを選んでしまった…という
ご経験もあるのではないですか?
でも、
それで、ぜんぜん大丈夫ですよ。(^_-)
どうしてもそうなってしまうのですから。
私にもそんな経験はあります。(^^ゞ
ここで、
『選択の科学』という著書をもつ
あるアメリカの教授によって
行なわれた研究をご紹介しましょう。
その研究では、
「選択肢が多ければ多いほど、
顧客の購買意欲は低下する」と
報告されています。
ある実験で、ジャムの試食ブースを作り、
「24種類」と「6種類」のジャムを
数時間ごとに入れ替えて提供したところ、
「24種類」並べたときは、
3%ほどしか購入されなかったのですが、
「6種類」並べたときには、
30%近くが購入した という結果が
出たそうです。
つまり、
種類を少なくすることによって、
購買率が上がったというのです。
私にも以前こんな経験があります。
もう20年以上の前の話です。^^;
確か東急ハンズだったかと思いますが、
50~60種類(もっとあったかも…)ほどの
様々な香りの歯磨き粉が売られていました。
種類の数はうろ覚えですが、
ビックリするくらいの種類でした。
果物系、花の香り系などに加えて、
カレーなど特殊な香りもたくさんあって、
遊び心で買いたい衝動にかられたのです。
しかし、
これもいいなあ、あれもいいなあ
それはないやろ!^^; と
物色しているうちに、
買う気が失せてしまって、
結局、何も買わなかったのです。
何を選んだらいいのか
わからなくなったのですね。^^;
このことから、
もし、あなたが
何か商売をされている方であれば、
商品を手にとってもらって、
購入までつなげたい場合には、
可能な限り、
少ない種類の展開で勝負する方が、
上手くいく場合が多い と言えそうです。
次に、
『比較するものがないと選べない。』
についてですが、
まず、
私がよく知っている家電業界を例に
お話を進めていきましょう。
新しく「4Kテレビ」が
発売された頃の話です。
今では、多くのご家庭のテレビは、
4K対応のものが多いかと思いますが、
当時は、本当に必要なのか判断が
できなかった方も多かったと思います。
発売当初は、70型、80型などの
超大型商品が店頭に並びました。
この頃は、まだ価格も高いので、
お財布に少し余裕がある方にしか
売れないのです。
しかし、
しばらくして、
50型、60型を投入すると
一気に売れるようになるのです。
よく売れていくサイズは、
60型と70型です。
ここが面白いのですが、
今まで売れていなかった70型が
売れ始めるのです。
なぜ、このような現象が起きるのか。
こちらもあなたが、
実際に家電店でテレビを買いにいく
つもりで想像してみてください。
最初は、4Kテレビが出た頃に
興味半分で見にいきました。
随分綺麗な映像だなあ、
これで映画など観れたらいいなあ…
でも、まだ高いし、もう少し待とう。
次にお店に行くと、
50型や60型が並べてあります。
価格も手ごろになってきたし、
そろそろ購入も検討しようか。
そこで、
あなたは並べてあるテレビの前で
見比べます。
50型だと少し小さいかな。
せっかく綺麗な映像だし、
60型ぐらいが適当かなあ。
でも、どうせ買うなら
長く使うものだし、映画を観るなら
大きな画面の方が絶対いいし、
80型まではいらないけど、
少し奮発して70型にするか!
…とこういう心境になるのでは
ないでしょうか。
このように、
比較する対象ができることで、
「より」こちらの方がいいと
決断できるようになり、
選択肢が少なかった時には、
売れなかった「70型のテレビ」が
売れていくようになるのです。
他にも
アパレル業界などでは、
多色展開している服などは、
少し奇抜な色を入れておく場合が
あるそうです。
これを『捨て色』というそうです。
これは、
あまり選ばないであろう色を
敢えて入れておくのです。
たとえば、
「白」と「紺」と「マゼンタピンク」の
3色展開をしている服があったとします。
この服の場合、『捨て色』は、
「マゼンタピンク」です。
そうすることによって、
自然と納得して、「白」か「紺」を
選ぶような気がしませんか?
これが、「白」と「紺」だけの展開で
あれば、店頭でもパッとしない服に
なってしまう可能性もあるのです。
このようにして、
メーカー側は、「白」と「紺」を
大量ロットで生産し、
「マゼンタピンク」は
小ロットで生産することよって、
最大限の利益を上げることが
できるということです。
さて、ここまで読んでいただいて
どうでしたか。
初めて聞かれた方にとっては、
面白い内容だったのではないでしょうか。
このようにして、
私たちは、モノを買うときに
自然と選ばされているのかも
しれませんね。
『選択肢が多すぎると選べない。』
『比較するものがないと選べない。』
このことを理解できていれば、
私たちはもう少しクールに
商品選択の幅を広げていける
のかもしれません。
また、
この傾向はモノを買うときだけ
ではありません。
たとえば、会議などで、
決断をしなければならない
『議題』がある場合などにも、
この傾向は当てはまります。
会議で議長を務める方は、
この傾向を知っていることで、
よりスムーズに議題を進めていくことが
できるようになるかもしれませんね。(^_-)
では、今日はここまで~♪